アルデンテな日日

毎日毎日少なくても日本酒三合は呑んでた男がなぜか不意にどうしても断りきれない宴会のある時にだけしかたなくとことん呑むことにしたとても断酒とは言えないタイトルは俳句っぽい禁酒日記のようなもの。

麦の穂に雨や禁酒も十八日

禁酒を始めてから十八日目。たぶん十八日目。昨日十七日目だったはずだから一日分プラスして十八日目。まず確かな数字だと思う。しかしもうきょうは何日目明日は何日もうあと何日で何日目だとかどうでもいいような気がしている。明日。いよいよ明日が宴会の日である。宴会。実に懐かしい響ではないか。我が禁酒も本日をもって終了かもしれない。いやおそらく終了であろう。いやおそらくではなく間違いなく終了であろう。そうだ。いっそ夜勤が休みの今夜自らの意思で禁酒を破り呑んでしまおうか。酒はあるか。考えるまでもない。ある。冷蔵庫にはまだ手付かずの例の缶ビールが二本冷えているではないか。しかし今夜は寒い。ならばキッチンの隅の暗がりの例のまだ半分以上残っているスコッチがあるではないか。いつものようにストレートでやれば胃の腑がカッと熱くなるだろうなぁ。今夜のような寒い日にはショットグラスでクイっとやりたいねぇ。それよりもまだまだ三分の一以上も残っている日本酒もスコッチの隣にあるではないか。こんな寒い夜はやはり燗酒だよねぇ。しみじみ呑めばしみじみりぃだよねぇ。でも一升瓶の三分の一だと少し心もとないしなぁと思ったところでハタと思い出したよ。我がスタバもといシゴトバの事務机の下の永久影*にとあるお寺の住職さんに貰った一升瓶が封も切らずに置いたままになっているではないか。雨もちょうど小雨になっているではないか。傘などさす必要もない。わずか百メートルにも満たない距離だ。行け。行ってたとえ三分の一しかない酒を呑み終えたとしてもまだあと一本分の余裕があるという余裕のある呑み方ができるではないか。今だよね。小雨の今だ。まだかみさんもお子たちも帰ってきていない今だ。今がチャンスだ。今を逃したら自ら禁酒を破るキッカケがない。今を逃したらやっぱりお前は禁酒を破るということも出来ない意気地のない男になってしまうんだぞ。そんなことでいいのか。そんな軟弱なことでいいのか。禁酒を破ることも出来ない男なのか。禁酒ひとつ破ることも出来ないそんな情けない男なのかお前は。さあ、今がその時だ。お前の男気を見せてやれ。さあ。やうし。俺は男だ。漢だぜ。

ただいま86kg。やはり順調に体重も回復している。正直な数値を浮かび上がらせた(浮かび上がらせなくてもいいのに)体重計を横目に私はひとり静かにナッツなんぞを摘みながらアップルティーを飲んでいる。禁酒すら破ることの出来ない弱い男であった。

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*惑星や衛星の表面において太陽光が全く届かない領域。